遺言は必要?書いた方がいい事例を紹介

相続に備えて生前にできる対策として、もっとも一般的なものが遺言です。
といっても、遺言を作成しておこうと思い至る方は少ないのが実情です。
誰も彼もが必ず書かなければならないもの、というわけではありません。
しかし、遺言がなかったが為に残された相続人が相続手続きで必要以上の苦労をするケースが後を断ちません。
ここでは、どのような方が遺言書を作成しておくべきかどうか解説します。
- 遺言書を書いた方がいいケースの具体例
- 遺言書を書くべき理由
- 遺言書が無い場合のトラブル事例
目次
1.遺言とは
遺言とは、亡くなった人(被相続人)が生前に「自分の財産を、誰に、どれだけ残すのか」についての意思表示をするもので、それを書面で残したものが遺言書です。
遺言書があれば、原則としてその内容のとおりに遺産を分割することとなるため、相続人同士での争いが起こりにくくなります。
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2.遺言を書いておいた方がいいケース(全9例)
遺言書を書いておいた方がいいケースについて、具体的に見ていきましょう。
どれかに当てはまると感じた方、いくつかのケースにまたがって当てはまる方と感じた方は専門家に相談しましょう。
①自分(遺言者)が望む通りに財産を相続して欲しいと考えている場合
まずは、遺言者が自分の財産について、誰に何を相続して欲しいか明確な希望を持っている場合が挙げられます。
また、遺留分に配慮した上で相続される遺産に傾斜をつけたい場合も考えられます。
このような場合には、遺言の作成が必要です。
ネガティブな原因に基づく場合だけでなく、明確な希望を持っている場合にも遺言書を作成する必要があるのです。
②相続人同士の仲が悪い場合
遺言がない場合、相続人全員で遺産分割協議を行うことになります。
このため、相続人同士の仲が悪いともめる可能性が高くなります。
遺言書であらかじめ相続の内容やどうしてそのように相続させたいのかという理由を明確にしておくことで、トラブルを未然に防ぐことができます。
③夫婦間に子供がいない場合
夫婦間に子供がいない場合、残された配偶者は、義理の父や母、あるいは義理の兄弟姉妹と遺産分割を行うことになります。
このようなケースでは、夫婦間の認識として自分が亡くなった時の相続人が相手だけであると誤解している場合が少なくありません。実際にそのような認識で相手に先立たれ、後で苦労するというケースをいくつも見てまいりました。
普段から交流が少なかったり、仲が良くなかったりする場合には、遺産分割でもめてしまう可能性が高くなります。
また、このようなケースでは相手(自分の配偶者)に遺産をすべて残してあげたいという方が多いのが実情です。
このため、夫婦どちらの方も、配偶者にすべての遺産を相続させるという内容の遺言を残しておくことが必要かつ効果的です。
④内縁の妻(夫)がいる場合
長年一緒に生活しているなど、事実上の婚姻関係があっても、入籍していない(法律上の婚姻関係にない)場合は、相続権がありません。
③のケースと同様に、相手(内縁配偶者)にすべての財産を残してあげたいという場合や、特定の財産を相続させたいという場合には、遺言書の作成が必須です。
⑤同性のパートナーがいる場合
現在の日本の法律では、同性のパートナーと法律婚をすることはできません。
この場合にはパートナー以外の人が相続人となってしまうことから、お互いに遺言で財産を遺贈し合うようにする必要があるといえます。
但し、遺留分についての配慮が必要です。
⑥現在の配偶者との間以外に子がいる場合(前婚の子・認知した子などがいる場合)
現在婚姻関係にある相手とは別に、過去の婚姻・認知などで子にあたる方がいる場合にも、遺言書の作成の必要性が高いです。
高い、というのは穏やかな表現であり、事実上必須と言ってもいいくらいです。
このようなケースは、本当に後をたちません。
現在の配偶者や、その配偶者との間にできた子に相続して欲しい財産がある場合(例えば自宅や、夫婦で築いてきた預貯金など)に、遺言書がないと、残された相続人はそれらの財産まで、過去の婚姻や認知等によってできた子と遺産分割協議をしなければならなくなり、手続きの遅延や遺産分割のハードルが上がってしまいます。
過去の婚姻や認知等でできた子への遺留分の配慮は必要となりますが、それでも大切な財産を現在の配偶者や子に残したい場合には遺言書は必須です。
残された相続人が大変な状況に置かれてしまうからです。
⑦相続人ではない人に財産を渡したい場合
例えば、献身的に介護をしてくれた子供の配偶者や、お世話になった友人など、法定相続人ではない人に財産を渡したい場合、遺言書によって財産を渡すことを実現できます。
この場合も遺留分に配慮する必要があります。
⑧特定の相続人に事業承継を考えている場合
会社を経営しているなどの場合にその会社の株式を保有していることがあります。株式も相続の対象となるため、スムーズな経営権の移行のためにも遺言が必要です。
もし遺言がない場合、その株式も含めて相続人間で遺産分割を行うことになります。
個人事業主の場合でも、事業用財産などが相続財産として遺産分割の対象となります。
事業を承継する人があらかじめ決まっている場合には、株式・個人名義の事業用財産などを遺言によって相続させるのが良いでしょう。
⑨相続人の中に行方不明者や判断能力に欠ける者がいる場合
相続人の中に行方不明者や判断能力を欠く者がいても、排除して遺産分割することはできません。
行方不明者の場合は不在者財産管理人を選任し、判断能力を欠く場合は成年後見人等を選任する必要があります。
そのような方に遺産を残すことそれ自体を否定するものではありませんが、これらの手続きには大変な労力がかかります。
そのため、スムーズな手続きのためには遺言書を残しておくことが効果的です。
3.まとめ
以上、9つの例をもとに、遺言書を書くべきケースを見て参りましたが、これらはほんの一例です。
各家庭で事情は様々に異なりますが、これらに当てはまると感じた方は、残された相続人のために遺言書を書いておくべきだといえます。
特に、②以降に当てはまる方は、放っておくと、遺産を受け取る方に多大な苦労をかけたり、手続きの時間や費用を通常より多く負担させてしまうことになりかねません。
いちはら法務事務所では、相続手続き全般に精通した司法書士が、遺言の作成方法や内容の決め方など、皆様の想いを確実に残すためのサポートをいたします。 些細な悩みでもお気軽にご相談ください。
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